乳腺外科について
当院では2020年4月に常勤医師による乳腺外科を開設いたしました。ここではおもに乳がんの患者様に対して、その診断から治療にいたるまで総合的かつ専門的に、患者様とともに取り組んでおります。また乳腺の良性腫瘍や乳腺症、乳腺炎といった乳腺に関するそのほかの疾患全般についてはもちろん、市や会社などの乳がん検診で要精査となった方の二次検診としても受診していただいております。
以下のような症状を中心に診療・治療を行います
- 乳房にしこりを触れる、腋にしこりを触れる
- 乳房に痛みがある
- 乳頭から血性の分泌物が出る
- 乳房をつまむと「えくぼ」ができる
- 乳房の形や大きさに左右差がある
- 乳首にただれができたり治ったりをくり返す
- 検診で要精査と言われた方(二次検診) など
近年は無症状でありながら検診でのマンモグラフィで発見される乳がんも増加しています。統計では40歳以降急激に乳がんにかかる方が増加します。あてはまる年齢になった方は検診を受けるようにしましょう。
乳がんについて
乳がんは女性が生涯で最もかかりやすいがんとしてその患者数は増加の一途をたどっていますが、一方で研究の成果により乳がんは個別化され、それぞれの乳がんに最適の治療が選択されて行われるようになりました。
また「乳がんは全身病である」という考え方が定着し、乳房に対する手術や放射線治療といった「局所療法」と、乳房以外に同時に存在する微小がんに対する「全身療法」を並行して行うことが原則となっていますが、近年では6割の方に乳房温存手術が選択されるなど「局所療法」は縮小される傾向にある一方、「全身療法」としての抗がん剤治療、ホルモン治療、分子標的治療といった薬物療法がより重要視されるようになりました。
当院ではそれぞれの患者様にとって最適な治療が患者様やご家族とともに選択され、そしてそれが安心して行われるよう、医師、看護師、薬剤師をはじめとするスタッフがチームとなって治療に取り組んでおります。
乳がん診療では患者様と10年を超えるような長いお付き合いとなることも多く、だからこそお近くにお住まいの方に心おだやかに、安心と信頼に基づく医療を受けて頂けますよう、コミュニケーションにこそ重きを置いた診療を心がけております。
乳がん治療の考え方
乳がんは全身病である: 局所療法から全身療法へ
- 外科治療の縮小
- 全身療法(薬物療法)の拡大
(抗がん剤、分子標的治療、ホルモン治療等)
乳がんの治療について考える上で大切な、「乳がんは全身病である」という考え方があります。
乳房に発生した乳がんは、手術を受けることによって乳房のがんは消失します。でもちゃんと手術を受けたはずなのにあとになって再発してきた、ということが起こることがあります。その原因は、乳がんが発生したときにすでに体のどこかに微小がんが発生していて、これが再発をしてくるからであると考えられています。この微小がんをやっつけておくことがとても大切で、そのために術前薬物療法、術後薬物療法といった「全身療法」が重要になるのです。
このような考え方から、「乳房を取ってしまえばそれでいい」と乳房を全摘していたものが、乳頭乳輪を残す乳房温存手術へと手術は縮小傾向となってきた一方、「全身療法」としての抗がん剤や分子標的治療、ホルモン療法といった薬物療法が今もなお拡大されてきています。
一般的な乳がん(浸潤性乳管癌)の治療方針
現在広く行われている、一般的な乳がんに対する治療方針です。
乳がんが疑われた場合、まずは外来で局所麻酔下に針生検を行って、乳がんであるという確定診断を行うとともに、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PgR)、Her2蛋白の過剰発現、Ki67という項目を調べます。これらの結果によりそれぞれの乳がんの特徴(サブタイプ)を決定して、その方に最も適した治療をご本人、ご家族とともに十分相談したうえで意思決定します。
抗がん剤がよく効くタイプならば、術前あるいは術後に抗がん剤治療を行う場合があります。
またホルモン剤が効くタイプならば5~10年程度のホルモン治療を行います。
また手術には大きく分けて、乳頭乳輪を残す乳房温存手術と乳房をすべて切除する胸筋温存乳房切除があり、乳房温存手術には原則としてそのあとに放射線治療が行われることになります。
乳がんに対する薬物治療
- 術後再発予防を目的としたホルモン療法
- 転移再発乳がんに対するホルモン療法
- 術前化学療法
- 術後補助化学療法
- 進行再発乳がんに対する化学療法
- Her2陽性乳がんに対する抗Her2療法
- ホルモン療法と併用するもの
- トリプルネガティブ乳がんで使用するもの
- 遺伝性乳がんで使用するもの
- 骨転移の症例で使用するもの
- 血管新生阻害剤
乳がんに対するおもな手術
- 乳腺部分切除(円状切除、扇状切除)
- 腫瘤摘出術
- 胸筋温存乳房切除
- 乳頭乳輪温存乳房切除(Nipple-Sparing Mastectomy)
手術実績
医師紹介
乳腺外科の外来担当医表・休診代診を見る外科
専門医及び所属学会 | 日本外科学会外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科専門医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本乳癌学会乳腺認定医 検診マンモグラフィ読影認定医 日本臨床外科学会 |
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専門領域 | 乳癌・乳腺疾患、消化器外科、一般外科 |