肝胆膵外科外来について
肝臓、胆道、膵臓領域の病気は、診断と治療が難しい疾患です。特に癌などの悪性疾患の場合、手遅れになってしまうと大変です。また、胆石などは頻度の高い病気であり、決して侮れません。われわれは、迅速で正確な診断と確実な治療をモットーに、手術治療はもとより内視鏡治療、経皮的治療、抗がん剤治療など様々な治療を提供致します。
近隣の方々が気楽に肝臓、胆道、膵臓領域の病気のことで相談でき、患者一人一人にあった最良の治療の提供と、紹介いただいた医療機関にも肝臓、胆道、膵臓領域で特化した施設として、治療を提供できるよう日々努力致します。
以下のような症状を中心に診療・治療を行います
肝臓・膵臓・胆道の病気を指摘された(癌、腫瘍、胆石、膵石、肝嚢胞など)、黄疸、肝機能障害、糖尿病の悪化、体重減少、上腹部痛、これらがあった場合は気軽にご相談ください。
主な対象疾患
当院では肝臓、胆道、膵臓疾患を中心に、十二指腸と膵頭部領域疾患や脾臓など下記疾患に対し様々な治療を行っております。外科的治療はもとより、内視鏡的治療や経皮的治療、癌などに対してはさらに抗がん剤治療など多角的に疾患に対しアプローチし最善の治療を行います。
肝臓、胆道、膵臓領域疾患において、最も重要なことは正確な診断とスピード感をもった治療です。そのために、様々な必要な検査を迅速に行い、それを十分読み解き診断することが大切です。また診断や治療方針において、様々な先生がたとカンファレンスを行い十分検討したうえで決定するのが望ましいと考え、率先して取り組んでいます。1人の患者に対しチームとして取り組み、常に患者にとって適切でかつ最善な治療を提供できるように励んでおります。
膵疾患
膵臓は背骨と胃に挟まれた細長い臓器で、体内の血糖と消化に携わる比較的症状の出にくい臓器です。通常の検診では発見されにくい疾患が多いため、採血、画像検査(超音波、MRI、造影CT)はもとより、内視鏡検査(ERCP:内視鏡的逆行性胆管膵管造影)や超音波内視鏡が必要となることもあります。また糖尿病の悪化や家族性膵癌も注意しなければなりません。これらを正確に診断するためには高い精度検査(画像検査や内視鏡)とそれを読み解く診断が必要不可欠です。
膵嚢胞性疾患(IPMN,MCN,SCN)慢性膵炎、膵石症、膵胆管合流異常症、
膵良性腫瘍 IgG4関連疾患 Pan-NEN(膵内分泌腫瘍) 十二指腸腫瘍など
悪性腫瘍(malignant potential含む)
膵臓癌、膵嚢胞性疾患(IPMC,MCN)、転移性膵癌 Pan-NEN(膵内分泌腫瘍)、転移性膵癌など
膵臓良性疾患
膵臓は体内の血糖と消化に携わる大切な臓器であり、できるだけ切除せず残したほうがよい臓器です。癌を含めた悪性疾患切除は積極性をもって切除しなくてはなりませんが、良性疾患では可及的に温存すべきです。そのため良性と悪性の鑑別が非常に重要であり、正確な診断が必要です。特に経過観察の場合、慎重に行わなければなりません。理由は、もし癌などが隠れていた場合、進行してしまう恐れがあるからです。大切なことは正確な診断と適切な治療です。しかし、癌の疑いの可能性があった場合は手術加療を考慮しなくてはなりません。
膵悪性腫瘍:膵臓癌など
膵臓癌は予後の悪い病気です。そのため早期発見早期治療が最も望ましいですが、早期の場合は症状のないことも多く、診断にも高い精度が必要です。もし疑いのあった場合は、迅速な検査と正確な診断、積極的手術が必要です。
治療内容は、基本は手術加療と抗がん剤治療の組み合わせが中心となります。進行した膵臓癌の場合、血管への浸潤や転移などしやすいため、それに対応した治療が必要であり、抗がん剤を先行しその後手術加療を行うこともあります。進行がさらに高度な場合は抗がん剤が優先して行われます。
検査方法
採血、腹部超音波(超音波内視鏡)、MRI(MRCP)、腹部CT(造影CT)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影) PET-CT
治療
膵頭十二指腸切除術(全胃、亜全胃温存 血管合併切除)、膵体尾部切除術、部分切除などの手術加療、
内視鏡的アプローチ(各種内視鏡ステント、砕石/採石術)
日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会編「膵癌診療ガイドライン2019年版 P93」(金原出版)
改訂2019年10月 日本膵臓学会 HPにて公開(http://www.suizou.org/pdf/guide2019_P93.pdf)より
膵頭部癌
膵頭部癌
P−3 慢性膵炎
胆道疾患
肝臓で作られた胆汁が十二指腸まで流れる経路が胆道であり、胆のうを含んだ病気を指します。一般的には胆石の頻度が高く、胃のあたりの痛みとして発見されることも多くあり、比較的急な腹痛や高熱、中には黄疸(顔や目、体の色が黄色くなる)などが出現することもあります。胆道炎を呈した場合、緊急治療を要することも多く、専門施設での治療をお勧めします。また黄疸の中には癌を合併していることもあるため、正確な診断が必要とされます。
胆嚢結石、胆管結石、胆嚢ポリープ、閉塞生黄疸、急性胆嚢炎、急性胆管炎、膵胆管合流異常症、ファーター乳頭部異常 胆管異常 IgG4関連疾患 先天性胆管拡張症など
胆管癌、胆嚢癌、肝内胆管癌、ファーター乳頭部癌、転移性癌浸潤 など
胆道良性疾患
胆道疾患で最も多いのは胆石および胆石に関連した疾患であり、急性胆嚢炎、急性胆管炎、胆石性膵炎など様々な疾患があります。胆石関連においては緊急を要することも多く、迅速に腹腔鏡治療と内視鏡治療(ERCP関連:内視鏡HP参考)、経皮的治療を併用し治療に取り組んでいます。また、胆嚢ポリープも多く存在し10mm径を超えるものでは腹腔鏡下胆嚢的摘出を一般的に行います。膵胆管合流異常症なども正確な診断と適切な治療が望まれます。
胆道性腫瘍:胆道癌など
基本は手術加療と抗がん剤の治療で行います、黄疸を伴うことも多く、内視鏡と場合によって経皮的に治療を行い、その後手術に取り組んで行きます。また、抗がん剤の投与の役割は非常に大きいため、患者の状態によって可及的に投与を行って行きます。
検査方法
採血、腹部超音波(超音波内視鏡)、MRI(MRCP)、腹部CT(造影CT)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影) 、PET-CTなど
治療
腹腔鏡下胆嚢摘出術 腹腔鏡下胆管切開結石除去術、肝外胆管切除、膵頭十二指腸切除術(全胃、亜全胃温存、血管合併切除)などの手術加療、内視鏡的アプローチ(各種内視鏡ステント、砕石/採石術)
胆嚢胆管結石
胆嚢胆管結石
胆嚢がん
C−4 遠位胆管癌
肝臓疾患
肝臓は沈黙の臓器とも言われており、症状が出現したときには病気が進行している状態なこともあります。肝臓疾患の馴染みのある原因としてはアルコールなどが有名ですが、ウイルス性肝炎などの感染症も広く知られており、最近ではアルコール以外の原因でおこる脂肪肝(NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患)なども問題になっています。この多くは肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴い、また肝硬変に進行したり、中には肝癌を発症することもあります。肝疾患の多くは採血、画像検査(超音波、MRI,CT)でかなり発見されます。
肝膿瘍、肝血管腫、肝嚢胞性疾患、限局性結節性過形成胆嚢結石、IPNB など
肝細胞癌、胆管細胞癌、転移性肝腫瘍 など
肝臓良性疾患
基本的に画像診断で行われます。必要に応じて良性と悪性の鑑別が必要な場合は、針をさして組織を取り顕微鏡で確認します。正確な診断は非常に重要であり、的確な治療には必要不可欠です。特に経過観察の場合、もし癌などが隠れていると、進行してしまう恐れがあるからです。
何でも全部手術でとれば良いわけではありません。大切なことは正確な診断と適切な対応が必要なわけです。しかし、癌の疑いの可能性が高い場合は手術加療を考慮しなくてはなりません。
肝臓悪性腫瘍
癌治療の基本は切除です。肝臓は再生が富んだ組織ですので、正常な肝臓の場合、腫瘍と一緒に広範囲に切除可能ですが、肝臓の機能が低下していると切除できる範囲が制限されてしまいます。手術においては肝臓の機能によって切除範囲や手術の内容が決められます。手術以外として、癌の栄養血管を抗がん剤と塞栓物質で詰める方法や、腫瘍を焼灼する方法、飲み薬の抗がん剤などがあります。
検査方法
採血、超音波、CT、MRI、ERCP、PET-CTなど
治療
肝切除(部分切除、亜区域切除、区域切除、左右肝切除)、TACE(肝動脈科学塞栓療法) 、RFA(ラジオ波焼灼療法)
肝細胞癌
手術実績
医師紹介
肝胆膵外科の外来担当医表・休診代診を見る外科
専門医及び所属学会 | 日本外科学会外科専門医・指導医 日本消化管学会胃腸科暫定専門医・指導医 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医 日本膵臓学会認定指導医 日本胆道学会認定指導医 日本病院総合診療医学会認定病院総合診療医 日本ヘリコバクター学会H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医 日本消化器外科学会認定医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 帝京大学医学部付属病院 外科 非常勤講師 |
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専門領域 | 膵臓、胆道、肝臓:診断・加療(外科手術領域、ERCP関連領域) |
外科